「わたしにとっての言友会の魅力」

東京言友会 代表理事 鈴木織江

私にとっての言友会の魅力は大きく分けて3つあります。

1つ目は同じ吃音を持ったいろいろな人との出会いによって、悩みを共有できるという事。

2つ目は同じ特性を持った人がどう吃音に向き合っているかを知ることで自分の吃音への向き合い方の参考にできる、先々どう向き合っていけるか、先輩を見る事で目標にできるという事です。

そして3つ目は同じ特性を持った人同士の前なので安心してどもる自分を出すことが出来るということです。

 

多様性を尊重する時代になり、吃音を持つ私達にとって表面的には住みやすい社会になりつつあります。吃音に対しての配慮を受ける事も時代と共に容易になってまいりました。しかしながら本当の意味で吃音を持たない多くの方々にとって私たちの悩みは理解しにくい部分があります。吃音をカミングアウトして配慮して欲しい旨を私たちが精一杯勇気を振り絞って伝えても、大部分の人からは薄い反応しか得ることが出来ません。

 

私たちが精一杯勇気をもって告白している事を相手に判ってもらう事は難しいように思います。一緒になって悩みを考えて欲しいと思っても社会一般の方はどう反応したらよいかわからない事が一般的なのではないでしょうか。多様性を尊重しつつある社会故に他人が指摘したり質問したりできない風潮がある中、当事者以外の人の反応が薄くなってしまう事は致し方ない部分があります。しかし私たちはもっと他者に自分の吃音をわかってほしい知ってほしいと常に思っているのです。

 

だからと言って専門家と話すのはハードルが高い部分もある。そんな中で言友会の存在が非常に私たちにとって有益だと感じます。昨今、ネット上でいろいろなタイプの人と知り合う事が出来るようになりました。しかし、例会に行けば対面で同じ特性の方と実際に会える。年に一度の全国大会に参加したら日本中の人と会える、世界大会に行けば他国の当事者と会って情報交換ができる事は素晴らしい事だとそのような機会を得る度実感しています。また専門家とも身近に接する事が出来直接話すことも可能です。吃音に関する最新の情報とも接する事が出来ます。

 

私が言友会に入会したのは20代の終わりでした。

こんなにもたくさんの仲間がいるのだ、自分は独りぼっちではないのだ、みんな自分と同じ悩みを抱えていたのだ、自分が苦しんだことと同じ経験をしている仲間がここにいる、その事に非常に勇気を得ました。その後の人生において、それはとても心強い指針となりました。なんでも挑戦できる気になりました。

今までは吃音があるから避けていた事でも、身近に仲間が出来たことで挑戦しよう、仲間に負けない為にそんな風に思えるようになったのです。これが私にとっての言友会の意味であります。

 

最近、人前で話すことが苦手です。どうしてもこのような大勢の前だといつも以上の吃音が出てしまい、心拍数が上がり、口はこわばり、頭が真っ白になります。うまく話せなくても良い、どもっても伝わればよいと思っていても、肉体的な苦しさゆえに発話出来ない事があります。そんな自分が歯痒くあります。そんな時、言友会の仲間の顔が自然と頭に思い浮かびます。そして仲間に恥ずかしくないよう、前を向いて生きていきたいそう思えるのです。

それこそが私にとっての言友会の魅力だと考えています。